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中小同族企業が100年超継続企業を目指す

京都100年企業研究会 企業訪問セミナー 株式会社傳來工房様 訪問レポート
環境整備の素晴らしさを教えていただいた傳來工房様の訪問レポートを
アップいたします。目からうろこの創業1200年の京の老舗の素晴らしさを
実感してください。
傳來工房様 企業訪問セミナーレポート報告20120212.doc
Microsoftワード文書 1.4 MB

京都100年企業研究会 第10回 株式会社 傅來工房様      企業訪問セミナーレポート報告

 

平成24215日作成

                           株式会社 ひろせ総研

                          中小企業診断士 林 勇作

 

訪問日 平成24120日金曜日 1330分から1740

訪問先 株式会社 傅來工房 

参加者 12名(内当研究会会員・準会員6名、新規3名、スタッフ3名)

 

京都の葛野大路九条を少し上がったところに、平安の時代から続く傅來工房がある。

平安の時代というと、弘法大師など遣唐使が中国大陸の文化・技術を日本に伝え、

天皇を中心とした京都の都が栄え、様々な文化が花開いた時代である。まさにその弘法大師が唐より持ち帰った鋳造技術を現代に伝えてきた企業が傅來工房である。

 

 神社仏閣の建立盛んな時期は大変栄えて、また鋳造技術による貨幣・武器の製造が出来ることから時の権力者の保護をうけて、順調に継続してきた。

 

しかし昨今神社仏閣の新たな建立も減少してきたことから、このままでは潰れてしまうと危機感を持たれ、橋本和良現社長の父の先代から新たな分野への進出を図ってこられた。それが先代が進出した装飾建築金物分野であり、現社長の時代から傅來工房の家という住宅建築であり、エクステリア製品製造販売への進出である。

 

しかし新しい分野への転換は従業員の意識改革、それ以上に経営者・幹部の自己改革無しでは成功し得なかったであろう。そのために現社長は様々な経営改善を図られ、それがことごとく失敗し、その最後に取り組まれたのが『環境整備』であった。凡事徹底という言葉があるが、当たり前のことを当たり前にきちっと続けていくことほど難しいことはない。それをやりきるにはコピー用紙11枚積み上げていくような途方もない根気と努力が必要であったという。

 

その成果が実り、今では全国から会社見学に訪れる経営者・特約店従業員・経営コンサルタント等が後を絶たなくなった。来るだけではなく、感動を伴って帰られ、その後には発注が次々と来るという。まさに会社がショールーム、営業の最強ツールであり、社員全員が最大の営業人員となっている。ここまでに来るまでにはどの位の道のりをどのように歩んでこられたのかが我々の最大の関心事となった。

 

DENRAI CREDOS(クレド:信条)に傅來工房が歩んできた道の足跡をたどることができる

Art Presenter (Art Creator) 

すべての人にアートフルな空間を通して夢を送ります。

ARTには芸術的と卓越した技術という両方の意味がある】

 ②Good Company for People (Caring Company)

 傅來に関わるすべての人にとって、よい会社を目指します。

Denrai for Dreams

 全員の夢の達成の場が傅來工房です。

 

卓越した技術をもって感動を生む製品作りを行い、周りの方々全ての喜びを呼び、お客様への感謝の気持ちが従業員全員のやりがいとなって幸せな気持ちを生む。そんな職場だからこそ従業員は自分の夢を託し、実現できるのである。

 

いくつもの示唆に富んだお話をいただいたが、当研究会で提案している企業継続のための3つの仮説の実証・検証としてまさにあてはまる事例を中心に取り上げてみたい。

 

Ⅰ.変えるべきものと残すべきものを明確に区分する 

 

 

 1.環境整備の取り組みはこれからますます革新を行いながら、いつまでも続けていきたい。

 

・すべての基本は「環境整備」から。基本のことができなくて、それ以上の仕事ができるはずがない。まずは凡事徹底から始まる。このことは未来永劫当社の基本とすべき事項と考える。

 

 

 2.お客様第一主義はこれまで通り続けていきたい。

 

・お客様から商品をどうしたら良いかと聞いていくというのが、当社の基本的な営業方針である。

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3.傅來様式という昔から続く具足の様式がある。引き継いできた技術はそのエッセンスが新しい技術の中でも残っていた。

 

・昔からいい職人は整理が上手と言われる。仕事の後始末、道具の手入れなどである。一流の料理人を見れば一目瞭然である。そう考えれば環境整備に取り組んだのもこの一流職人のDNAが引き継がれていたからこそと考えてもおかしくない。

 

4.傅來合言葉:新しく変わったものを創れ 京のものづくり

 

・京都のお茶の老舗 一保堂さんでもお茶の味は時代とともに変わってきている。そうしなければ生き残れない。しかし変わったと感じさせてはいけない。と例え話をされた。当社は常に今までにない新しく変わったものを作り出すことを合言葉として、社員一同仕事に取り組んでいる。その一環が社員からの提案書でありちょっとした一工夫を取り上げ、表彰する制度がある。

 

 

Ⅱ.将来のビジョンを示し、その達成のために必要な人財をトップ自ら育てる 

 

 

1.後継者は会社を存続させることができる人に託したい。傅來工房の歴史は元来一番弟子に継がせるというものだった。

 

 ・現社長の祖父が明治時代一番弟子として会社を継いだ。その後父、社長とこの企業にしては珍しく直系親族で代襲した。しかしここに来て社長は考える。子供に継がせることがベストか否か。現社長には男の子はいないため、後継者を娘婿という選択肢もあるのだが、今は決めていない。伝統に則り、一番弟子に託すということも視野に入れているという。技術集団が生き残るには最高の技術を持つ者が承継すべきと考える。

 

 

 2.会社が最高のショールーム、社員全員が最高の営業人員と言わしめる環境整備活動

 は、あらゆることの基本である。

 

 ・最初は社長もしていなかった。言うだけでは全く進まないことを気づかされた。その日から社長1人でトイレ掃除を始めた。それこそ最初は誰もが同じで、長い柄のたわしと長いゴム手袋で完全防備し、顔を背けながらの掃除であった。1ヶ月、3ヶ月経つと力が入らないと長い柄を取り、たわしだけで磨いた。そのうち素手で、見えないところまでも徹底的に磨いていた。幹部の1人2人が手伝い始めた。そうして1年が過ぎた。

社長は気づいた。トイレ掃除はトイレを磨いているのではない。自分の心を磨いているのだと。だから社員全体での取り組みとした。最初は営業を中心に猛反対にあった。

しかし今では営業が最も熱心だという。それはお客様を会社に連れてくるだけで営業になるということを知ったからである。会社訪問した顧客が感動して自社に戻り、数日のうちに注文が入るということが続いたからである。こんなすごい会社の商品に間違いはないというわけである。

・環境整備は掃除だけではない。礼儀、規律、清潔、整頓、安全、衛生の6つをおこなうことである。三定の取り組みも素晴らしい。定位置・定品・定量の徹底である。その様子は巻末の写真を見ていただきたい。やり続けることの素晴らしさが見えてくる。

・新人も入社して数ヶ月環境整備のみを行なう。なぜならば環境整備は仕事の基本である。通常業務は環境整備のなんたるかが分かってからだ。基本がしっかりしていれば、どんな仕事もたやすくこなせる。

そうして会社が最高のショールーム、社員全員が最高の営業人員として育っていくのである。15年取り組んだ成果は、ここ10年間毎年売上10%~20UPの実現にある。

売上だけではない。お客様から褒められる社員が増えたことが嬉しい成果である。

 

 

Ⅲ.売り手よし、買い手よし、世間もっとよし 

 

 

 1.地域一番店のみとしか取引をしない。現在エクステリア部門には約300店舗の特約店がある。

 

 ・徹底した品質管理主義から超一流と認められた、もの、人、企業とお取引をする。かえって拡大するとそのポリシーから外れ、品質に責任が持てなくなる。安心、安全な商品をお使いいただけるよう特約店は信頼の置ける、当社と方向性を一にした企業とだけ取引を行うこととしている。

 

 

2.自然環境にも優しい経営を行う。古いのは恥ずかしいことではない。汚れていることが恥ずべきことだ。

 

 ・自然環境にやさしい経営 これは最近エコに目覚めた企業がCO2の削減をテーマに、節電やリサイクルを進めている姿を思い出す。ここ傅來工房でも当然この取り組みはなされており、その程度が半端ではない。何より社屋全体を社員自身が修繕し、維持しているという。壁のペンキ塗り、天井・床の修理、廃品のロッカーも自分達で手入れして立派に使っている。捨てるという発想が無いようにも思えるほど、あるものを大事に使っている。そのアイデアたるや感動に値する。

欠品を防ぐための消耗品の管理手法、如何に“見える化”するかに集約されている。ペンからノート、祝儀袋ありとあらゆるものがその在庫量が一目瞭然で把握できるよう工夫されていた。事務室でも工場でもすべての備品の定位置が明確に決められている。

必要なものを必要なときに必要なだけ取り出せるような仕組み、それでいて在庫は最小限にできる仕組み、これを見た見学者で感動しないものはいないだろう。

 

3.住宅の受注範囲は1時間で行けるところに限定する。その心はいつでもすぐにお伺いでき、修理やその他のご要望にお答えできるためである。

 

大変住みやすく、200年持つ丈夫さが評判の家なら、口コミでももっと日本全国に広がりそうなものであるが、しかし当社の建物は会社から1時間圏内の物件が中心である。それはあえて限定しているという。1時間を超えるお客様からのご注文は断るというのだが、かつてその範囲外に立てて欲しいと熱望されたお客様がいた。その方は交通費までも出すので是非来て欲しいという。止むなくお引き受けされたそうである。現在遠くても定期的・不定期関わらず、ご自宅まで訪問するという。これぞプロである。

 

 

参加者の方からの言葉で、印象的なところを取り上げました。

 

・従業員の方の挨拶が皆さん素晴らしかった。気持ちがよかった。

・御社の理念は素晴らしいと思います。社会貢献に至る答えも素晴らしいです。

・今日の姿に達せられる迄には相当の軋轢やら葛藤があられたことと推察いたします。(中略)やりきられたことは素晴らしい!!

・「すぐできること」をすぐにする。というあたりまえの行動を初心に戻って行なっていきたいと思います。

・“感動”とは“満足”を超えるレベルのものだと思います。それを実感させていただきました。

・トイレ掃除は「心」を磨くことであると言われた時は、共感し(私も常々行なっていますが)新たに自信がついたような気がしました。

・環境整備の徹底が社員のモチベーションはもちろん外部(得意先様)にも感動を及ぼす素晴らしいものだと改めて思い知りました。

・私共はサービス業でありながら本質であるお客様第一主義が基礎であると改めて参考になりました。

・(備え付けの)カイロにも、紙コップにも私の名前がありました。このような歓迎は初めてでした。

・けっして最新の設備があるわけではない。しかしどこへ行っても居心地が良い。全てのものに命が宿るが如く1つ1つのものが輝いている。そんな気がしました。

・環境整備には何度も挫折を味わいながら進まない中、大きなヒントをいただけたと感謝いたしております。

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企業継続のための3つの仮説

このテーマはこれまでの私の老舗研究の

中から生まれてきたものです。

 

一見当たり前のことのように見えますが、

それを当たりえのように実践することが

難しいのです。

 

京都の老舗が、どのように実践されて

いるか具体的事例でご説明します。

 

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